NVC 非暴力コミュニケーションの創始者マーシャル・B・ローゼンバーグ氏の日本語訳の本の2冊目の本。出版される前に予約注文して購入した。
訳者は、今井麻希子、鈴木重子、安納献。 3人ともNVCを学ぶ仲間であり友人で、重子さんと献さんは学ぶ中でめちゃお世話になり、沖縄のやんばるに一緒に旅に行ったこともある。ということで遠慮せずに本の紹介をしたいと思う。
本の原題は「SPEAK PEACE IN A WORLD OF CONFLICT。WHAT YOU SAY NEXT WILL CGANGE YOUR WORLD」。日本語訳は「対立の世界で平和を語る。あなたが次に何を話すかがあなたの世界を変える。だいぶタイトル変わったなあっていうのが第一印象。
今まで唯一の本であった「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法」よりも、こちらの本の方がより読みやすくなっていると思う。
自分はNVCを伝えるときに、NVCは難しいと思ったときに、2つの問いを思い出してみようとクラスの生徒さんたちに伝えている。 それがこの本の中でも書かれている。
・わたしたちの内面で何が息づいている・生き生きしているか?(What’s alive in us)
・人生を素晴しくするために何ができるのか?(What can we do make life more wonderful)
30ページ
この2つの問いは、Practical SpiritualityというNVCのスピリチュアリティな面について書かれた本に書かれていて、先にそちらの英語の本を読んでいたのだけど、NVCをシェアする人たちがあまりここに触れていないなあって当時思った。英語版ですがこの本もとてもいいです。この本についても以前に記事を書いてあります。
この本が出版されたことで、多くの人に伝わったらなと思う。
本の中ではエクササイズのやり方などが紹介されていますが、ワークショップなどに参加していないでいきなりやるのは少し難しいかもしれない。それでも、実践のためのヒントは本の中に書かれていて、それはマーシャルがおもいやりのある言葉を使って伝えてくれている。
すべての行動は、他者と自分自身の幸福に自らの意思で貢献するというたったひとつの目的のために行われるからです。
38ページ
マーシャルはさまざまな場面で、他者のためと自分のために何ができるかと問いかけてくれる。このシンプルな問いが、自分の内面で息づいていることとタッチするとき、何か気づきがあるはず。
「あなたのここが間違っている」と相手に伝えることは悲劇的な自殺行為であるばかりでなく効果的でもありません。
56ページ
この世界では常に間違い探しが行われていて、そのゲームが悲劇的な自殺行為で効果的ではないということをNVCでは言います。 多くの人にとっては受け入れたくないことかもしれない。
マーシャルが実際にどのようにNVCを使っているかの実例が、多数書かれており中には、刑務所の中で性犯罪者とNVCを使って共感的に繋がる実践などもある。そんなことする奴は人間としてクズでどうしようもないやつだとかジャッジしてしまいがちだが、その人の内面に息づいているものは何なのか、犯罪という行為ではなくニーズを満たす方法と繋がろうという意図には感服します。
わたしたちに必要なのは「”敵”のイメージ(エネミーイメージ)」から自分を解放することです。
174ページ
人は無意識のうちに他者に対して、何かしらイメージを持ってしまっている。 NVCはそこに気づくのに役立つ。
人が自分のニーズとつながったとき、他罰的な怒りは失われていきます。
189ページ
他人への怒りは自分の内側にある。 なかなか認めたくない人もいるだろうけど、自分の内面と深く繋がると他者が原因でないってことに気づく。
NVCでやっていることはヨガの実践なんだなって改めて思う。 ヨガのダルシャナのなかにあることの一部を他者との関係性という視点から紐解いている。 結果NVCを練習することで複雑に思えるヨガの哲学の理解にもつながっている。 世界は関係性でできている。 縁起ということです。 関係性というのは自己の中にすべてが存在する。自己がなければ他者も実在していないともいえる。 色即是空、空即是色でもある。 他者の間違っているという思考が湧いたときは、自分という存在について気づくチャンスともいえる。 NVC面白いです。
そして最後にタイトルが「わかりあえないを超える」だけど、超える必要はないんだと思う。 わかりあいたいけど、わかりあえない、でもお互いをわかりあいたいと思うことがとても大事だって思うのだ。
NVCのワークショップを不定期でやっています。ヨガと合わせたクラスなどもあります。