ヨーガ根本教典 佐保田 鶴治  (著)

ハタヨーガ

佐保田 鶴治先生のヨーガ根本教典。初版は昭和48年なので50年前。手元にある本が昭和57年で40年前。平河出版社から当時の価格が1,600円。 古典ヨーガとハタヨーガの教典として、ヨーガ・スートラとハタヨーガ・プラディーピカーの解説を行なっています。この2冊が一冊にまとまっているというのが、ヨガオタクにはたまらないところではないでしょうか。

ヨーガの歴史について諸説を考察されていて、ヨーガという言葉が最も古いものはリグ・ヴェーダのなかにある「馬を馬車につなぐ」という意味があるといいます。ヨーガはバラモン教の中で開発されたと考えられる。ヨーガの修行体系は仏教成立よりもさらに前にあり、ブッダやジャイナ教の開祖マハーヴィラが修行していたとされるが、彼らはバラモンではなくサマナ(門)であり異端だった。バラモン伝統の外にあったヨーガがバラモンの中に受け入れられていったという説。

カタ・ウパニシャッドのなかにヨーガの定義

「五つの知覚期間が意とともに静止し、覚もまた動かなくなったとき、人々は至上の境地だという。かように諸所の心理器官をかたく執持することを人々はヨーガと見なしている。」

27ページ 

「意」とは、マナス。 「覚」とはブッディ。ヨガを馬車に例えた例がはじめて登場するのは、ウパニシャッドのなかから。

アートマンを車主と知れ。肉体を車、覚を御者、意を手綱と心得よ。賢者たちは、もろもろの知覚器官を馬と呼び、諸知覚に対応する諸対象を道路と呼んでいる。  ーカタ 3・3−4

28ページ 

心を抑止していく方法を次のようにまとめています。

語 → 意 →智→大→静寂 

表面的な思考から抑制して、内面の心を抑制して、それを捉える感覚を抑制して、サマディ、宇宙意識、真我に到達する。 

古典ヨーガ学派、ここではヨーガ・スートラの後の後期ヨーガの注目するものとして、6つを挙げている。

1、ラージャ・ヨーガ サンキーヤ・ヨガ 古典ヨガ

2、バクティ・ヨーガ バカヴァット・ギーターの流れ

3、カルマ・ヨーガ

4、ジナーナ・ヨーガ  ヴェーダーンタ哲学の思想

5、マントラ・ヨーガ

6、ハタ・ヨーガ

ハタヨーガは肉体的・生理的な操作を主としている。またクンダリーニという女性的な原理を重んじ、さらに左道密教的なエロチシズムを含むところはインドにおける仏教の末期を飾った密教的仏教と似ている。

38ページ

サンキーヤ哲学について、二元論的多元論。真我(プルシャ)と自性(じしょう・プラクリティ)の2つは永久に分かれていて融合することがない。 プラクリティは唯一の根源的実在、プルシャは生き物の数だけ存在する。

プラクリティは3つのグナからなる。

1、サットヴァ・グナ

2、ラジャス・グナ

3、タマス・グナ

プラクリティは、3つのグナの均衡がとれていたのがプルシャと出会って、最初にブッディがあらわれ、アハンカーラが現れ、そこから2つに分かれ、一つはマナスと10の器官、もうひとつは、五唯(5つの微細な物質元素)から、五大元素(地、水、火、風、空)というように宇宙が展開していった。

ヨーガ・スートラ

ヨーガ・スートラの心のはたらきを死滅させるための方法は修習と離欲の2本で最後のトドメは離欲のほう。ここは、やっぱり大事なポイントですね。ヨーガ・スートラのなかで、自分が好きなところでもある。

 ヨーガ・スートラ 1章12節−14節 修習と離欲

さらに補助的な方法として、3つのクリヤヨーガ。

1、苦行

2、読(どくしゅう)

3、自在神(イーシュヴァラ)祈念

パタンジャリは、ヨーガ・スートラのとヨーガ派は、ヴェーダのサーンキヤ学派とほぼ同じで、違いはイーシュヴァラ、神の存在だという。なぜパタンジャリはイーシュヴァラという存在を作ったのか? パタンジャリが作ったのではなく、それが真理と言われたらそれまでだけど。

ハタ・ヨーガについて

「ハタ」という言葉の意味は、「ちから」という意味です。

58ページ

ハタヨーガ・プラディーピカーは、4章でなっているので、4支分のヨーガと言われるが、ここでは7部門に分けて説明されています。

1、禁戒(ヤマ) 10

2、勧戒(ニヤマ) 10

3、坐法(アーサナ) 84

4、浄化操作 6

5、クムバカ 8

6、ムドラー 10

7、三昧(ラージャ・ヨーガ) 5

ハタヨーガの根幹は調気法で、調気法と密接に関わるのが、クンダリニー。

クンダリニーがスシュムナーを貫きますと、プラーナがこの同じ管のなかを自由に流れるようになって、この管の6箇所にあるチャクラ(センター)が活性化することになり、それぞれのチャクラに眠っていた才能が発現するようになります。

59ページ

ここから、ヨーガ・スートラとハタヨーガ・プラディーピカーの解説に入っていくのですが、一冊に2つ入っているから内容が薄いのではないかなどと読む前は勝手に勘繰ってしまったが、実際のところ読んでみるととても読みやすく、他の解説本より解説がわかりやすいところもあります。

今回の記事では解説については触れず、2つの経典については別記事でも取り上げていますが、また気になるところを取り上げていこうと考えております。 

書籍が古くて、この漢字どう読むのだろうかってクエスチョンマークが頭に浮かぶこともありますが、ヨーガ・スートラと、ハタヨーガ・プラディーピカーという2つを解説されており、解説の前にヨガの歴史や起源、サンキーヤ哲学について、ハタヨガとの思想背景の違い、ヨガの哲学に興味を持って疑問に思うところが、かなり丁寧に書かれていると思います。

他の解説本も素晴らしいものがありますが、古いが良書であり、佐保田 鶴治先生をはじめ多くの先人に改めて感謝します。

  古典ハタヨーガの教典の5種類について

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