脳をみる心、心をみる脳:マインドサイトによる新しいサイコセラピー 自分を変える脳と心のサイエンス ダニエル・J・シーゲル著
著者のダニエル・J・シーゲルさんの「しあわせ育児の脳科学」を読んで、他の本も読んでみたくなって購入したのがこの本。この本を購入した2020年、YogaEd.のキッズヨガの講師養成講座を受講して、その課題図書が前述の「しあわせ育児の脳科学」だった。
キッズやティーンズのヨガのクラスでは脳科学についても学び、クラスに反映されている。 脳について知ることに大きな可能性を感じていた。
「しあわせ育児の脳科学」は定価が1,600円くらいだっのが今は古本が1万円くらいで取引きされています。ぜひ、再販してほしいものです。
マインドサイトとは、自分の心と脳の動きを意識することができる注意集中のかたちです。マインドサイトをもつことによって、心のなかの暗く激しい渦に巻き込まれるのではなく、「いま自分はどんな気持ちでどんな状態にあるのか、これからどうなりそうか」に気づくことができます。
はじめに
NVCとマインドフルネスを合わせたような感じがした。
マインドサイトによって、自分の感情に気づき、認めている力をフォーカシング(自分の心の状態に注意を向ける)というスキルとして紹介されていて、フォーカシングはNVCの兄弟のような親和性が高く、創始者のマーシャルもフォーカシングをすすめていたくらいで、この本を手に取ったことが偶然でも、嬉しく思った。
ちょっと箇条書きになったりメモのようになるかもですが気になるところを書いていきたい。
脳について。
経験や学習で新しい神経細胞が育ち神経ネットワークができることを神経可塑性という。神経可塑性は一生を通してあるもの。
額のうしろにある脳の部位は、脳の外側の大脳皮質の前頭葉の一部。前頭葉は複雑な思考と計画を司っている。この部位が使われると神経のニューロンが発火して地図を形成してイメージを思い浮かべることができる。
この本で、シーゲル博士は脳のハンドモデルというのを紹介してくれていた。 これ、2016年に参加したNVCのワークショップで学んだやつやと4年の時を得てつながる。
「いっしょに発火したニューロンは、結びいついていっしょになる。」
65ページ
いろんなものをヨガの視点で見ようとするメガネをかけているので、サンスカーラのようだとか思ったが、こういうふうに連想するのもニューロンが結びついているってことなんだな。
ミラーニューロンと呼ばれる回路が「共感」の源になっているといわれる。他者の行動から相手がこうしたいんだなって予測したり、それだけでなく自分も同じ行動をとれるように準備したりする。共鳴回路と呼ばれる。よくいわれるエンパス体質な人、自分もかなりのエンパスって言われるがミラーニューロンの働きが強いとか、そのバランス、制御する回路の問題だったりするのかもしれない。
心を安定させるために8つの統合というのをあげていて、意識の統合、水平統合、垂直統合、記憶の統合、ナラティブの統合、自己状態の統合、対人関係の統合、時間の統合という8つがあって、今回は細かくは書かないけど、本の中で車輪のスポークのようなものという説明があり、こういう例えを使ったメタによって、脳の統合を促しているのがわかって、著者は意図的にこの本を読むことでも読者が脳の動きに意識的になることを考えているのではないかと思った。
マインドフルネスの実践として洞察の瞑想というのが面白そうだったので、今度本の瞑想のガイドを録音して見よう。
わたしたちの脳がどのように動いているかをときおり実例から説明されています。
パニックになるとき、右半球がつくりだす感情や思考が左半球を圧倒してしまい、前頭前野がうまく働かないのです。
296ページ
脳のなかでボトムアップとトップダウンが双方向に行われている。何かを見たとき過去に見たときの記憶が活性化されて脳にイメージが起きる。
わたしたちは外界の姿をありのまま知覚しているわけではないのです。つねに脳のなかで現在の近くと過去の記憶が混じりあって加工され、イメージが形成されているのです。
330ページ
ヨガの世界では潜在印象(サンスカーラ)の説明で、ロープを蛇と見間違う話などが例で出てくるが、脳の機能なんだよね。なので自分の見ている世界が正しいわけではなく脳が錯覚を起こしている可能がある。
ヨガ哲学からサンスカーラ(潜在印象)と潜在意識 ヨーガスートラ2章から
どっちが正しくて、どっちが間違っているかというのがいかに不毛な議論なのか、だってどちらも自分の見た世界が正しいと脳が認識しているが、本当に正しいのかはわからない。 脳の錯覚や思い込みに気づくのが瞑想だしヨガのプラクティスだし、心の状態の気づきこそが真のヒーリングで自己への気づきだけでなく他者のなかで何が起きているのか? 相手をおもいやることにつながっていくはず。人は不確かな世界を見て生きているが、身体という道具を使ってそこに気づくことができる。 バラバラなようで関係性のなかにある。
NVCでは人はそれぞれ自分の世界を独自の眼鏡で見ていて、NVCのメガネで見ることで他者と共感的に繋がることができるという。 このマインドサイトも眼鏡を外して世界を見ることに役立つのでなないかな。本の感想をざっと書きましたが、出版されたのが10年前で脳科学の分野は近年急速に進化しているということで、きっと新たな知見がいろいろあると思います。 ちょっとマニアックな話ですがこんな話を共有できたら嬉しいです。