陰ヨガの新しい教科書 Insight Yogaというタイトルですが、日本語版の本が出版されたのが2014年ということで10年近く前で新しいと言えるのだろうかとか思うのは、時代の流れが10年で世界が大きく変化しているからでしょうか? 本の著者はアメリカの人気のヨガ講師であるサラ・パワーズ先生、陰ヨガの二大巨頭の1人とも言えるサラ先生は陰ヨガの創始者の1人と紹介されることもあるようですが、陰ヨガという名前をつけた人で、ポール・グリリー先生と共に陰ヨガの第一人者と言える方です。
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本の最初、目次の前にサラ先生のお兄さんと共に、日本語訳に日本の偉大なヨギーであった本山博先生に捧げられていた。 陰ヨガは本山博先生の影響を強く受けている。私が、ポール先生の弟子であるジョーバネット先生のティーチャートレーニングを受講したとき、おすすめされた本は本山先生の本だった。
本の前書きを書かれたポール先生も、サラ先生の序文にも本山先生のことが書かれており、その影響の大きさがうかがえる。
ヨガについて、どのような言葉を使うかはその人のキャラクターがとてもよく出るパーツだと思うのだけど、この本でヨーガとはと書かれた最初に ”ヨーガはボディ(体)とハート(感情的な心)とマインド(知的な心)を全体として理解する能力を高めるための体系だった一連の行動と理解してください。私達自身とその生き方に関心を持って意識をおいて徹底的に関わる方法です。” この後も文が続くのですが、自分にはこの文がツボにハマった。 この冒頭の文がアウェアネス 気づきについて伝えたいと意図しているのではないかと思った。
自分の興味をそそるのは、目に見えない生命エネルギー(プラーナ、氣)について学び方向づける必要性について、現代社会は目に見えるものに偏っているが、実際のところは目に見えないもの、電気とか電波とかそういったエネルギーの存在にも影響を大きく受けている。 自分の内面に目を向けるとヨガのプラクティスを実践するときだけでなく、自分を変える内なる旅である。
スピリチュアルなヨーガの実践に3つのステップを紹介していて、1、知的なレベル 2、マインドとハートに関する取り組み、3、私たちの存在すべてで取り組むこと ヨーガの道に全てを捧げること書くのは簡単だけど実践は簡単じゃなく非常に難しい。ただ出家して修行者になるってことではなく日常生活の中で日々の暮らしを丁寧にヨガを実践して生きようと気付かさせてくれるステップです。ヨーガの宇宙論で、目に見える現実は、目の見えない無限に広がる普遍的な力にその源がある、全ての源泉についてヨーガでのコーシャ(鞘)を使って説明している。
- アンナマヤ・コーシャ(食物鞘)
- プラーナマヤ・コーシャ(生気鞘)
- マノマヤ・コーシャ(意思鞘)
- ヴィジュナーナマヤ・コーシャ(理知鞘)
- アーナンダマヤ・コーシャ(歓喜鞘)
これらはエネルギーの次元で、まやかしであり、それらを超えた存在に近づいていくのがヨガの実践と言える。 著者であるサラ先生が陰ヨガを実践するにあたり、中国医学や仏教とヨーガを統合していったことが書かれてる。自分の場合はヨーガを学ぶ中でインドの伝統医学のアーユルヴェーダの知識や実践が不可欠と思っている。 またヨーガの哲学は仏教の影響が多く、ヨーガスートラにも慈悲喜捨の教えなど仏教哲学があり、仏教を学ぶことはヨーガにとても役立つのではないだろうか。
中国医学の経絡理論、氣、プラーナについて、陰と陽の考え方としてhatha ハタヨガのハ(ha)温めること、太陽神(スーリヤ)タ(tha) 冷やすこと 月女神(チャンドラ)ハとタが結びついたもの陰陽エネルギーのバランス、対極にありお互いが影響し対立しながら自然と均衡をとっていく。人体で言えば上半身が陽で下半身が陰。体の表面の組織は陽で深部は陰の組織。 リズミカルに動き筋肉を使うのが陽の運動で、静止して、骨や関節に働くのが陰のヨガ。陰のプラクティスを行うには陽の動きを行う必要があるし、陽の動きのためにも陰のプラクティスが必要になる。 どちらに注意を向けていてもどちらも大事だということ。
さらに五行論で内臓とエネルギーの関係性について、どんどん記事が長くなってきているからこれはまた別の機会に触れたいと思うけど自然界も人間もすべては同じようにエネルギーで構成されていて、表現が異なるだけでアーユルヴェーダでも同じ考えだと思います。
さてやっと陰ヨガの実践の話ですが、毎日規則正しくプラクティスをしよう。陰の練習は心の内面の受け入れる力や柔軟性を養い、陽のプラクティスは心の力強さを養います。どちらも両方育んでいく必要があります。片方だけではアンバランスな人間になる、陰ポーズの3つの原理として、
1、適切な限界まで行うこと 負荷が大きくなりすぎないように気の流れを促進する程度でポーズを留めること、痛んでいる関節の硬直を緩和しながらポーズによって生じる感覚に意識を集中すること
2、筋肉に力を入れずに静止すること 関節に自然と重力がかかる
3、経絡を十分に育めるように各ポーズをしばらく保持すること
ポーズのキープはほとんどの人が3分が意欲を維持できるベストで、5分だと残り2分は不快な感覚を受け入れるトレーニングになるという。
ジョーバネット先生はこれらを7つのステップに分けて行うことを指導されている。 面白いです。
腎臓と膀胱のペアが陰陽のバランスで重要であるということですが、感情面についてポーズをキープすると湧き上がってくる感情に身を任せると自然と受け入れられるようになる、これは陰ヨガの練習を継続していると効果として感じられるところです。 陰の練習は自分を解放する。解き放つプラクティスであり、心の内面に迷い、おそれ、不安、いろいろ人それぞれありますが、プラクティスすることを勧めたいです。心を扱うワークでは心理的な安全が脅かされる人がいるけど、陰ヨガのプラクティスは心の安全を保って行うことができます。 自分もクラスをやっているので、オンラインもあるの参加してみてください。
ヨガポーズのシークエンスの紹介も内臓に合わせてあります。 腎臓・膀胱軽、肝臓・胆嚢経、脾臓・胃経、肺・心臓・小腸経・大腸経と5つの経絡を小腸経・大腸経は1つにまとめて4つの経絡でポーズのシークエンスを分類しています。
ポール・グリリー先生やジョー・バネット先生は、ポーズを5つの原型に分類されていて、この違いも今後研究していければと思います。 やることがどんどん増えていくヨガの世界ですね。
プラーナヤマ、チャクラビジュアライゼーションの解説もありますが、本を読んで初心者が実践は難しいと思いますが、ヨガの指導者などは本を読んで実践も可能だと思います。チャクラ瞑想のクラスなど日本では少ないかもですが、まずはやっているクラスを探してみることを勧めたいです。 ーー
陽のポーズや太陽礼拝の解説などもされています。一般的なハタヨガの解説する本との違いは陰ヨガのバランスをとることを目的に書かれていますが、それでも丁寧に書かれています。ただポーズの写真がいっぱいあるヨガの本を購入されるなら、この本の方がベターだと思います。 仏教やマインドフルネスについても基礎的なことが書かれていますが、紹介されているブッダの言葉を引用させてもらいます。
仏が現れようと現れまいと、真実は同じである。極楽や地獄は外にあるのではなく、私たちの心の中にある。 -仏陀
長く書いたけど、本当に重要なことはこの一文に込められいると思います。 著者はこの本の終わりに、日常生活の全行為においてプラクティスを実践することを改めて伝えています。 プラクティスあるのみです。 こうして文章を書くこともプラクティスです。最後に付録でサラ先生の日常のプラクティスが紹介されています。 毎日実践するためのシークエンスをいくつか持っておくことはいいと思います。 陰ヨガの練習はポーズをじっくりキープするとあっという間に1時間とか経ってしまいます。
現在、自分がやっている陰ヨガのクラスは藤沢のスタジオで月に1、2回とオンラインで不定期開催です。自主開催クラスではハタヨガクラスで、陰ヨガを取り入れたりもしています。遊びきてください。
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