iRest Yoga Nidra.
2020年にヨガニドラの指導者養成講座を受講したあとにナイスなタイミングで、ヨガニドラの本が出版されたと期待して、すぐ購入した本。何度かこの本の感想を書こうとして書きかけで止まっていた。ヨガニドラと言ってもiRest アイレスト ヨガニドラ。
アイレストとは、Integrative Restoration(統合的回復)の略で、著者のリチャード・ミラー氏が古代のヨガニドラを基に現代的にアレンジして開発されたものでオリジナリティのあるヨガニドラについての本でした。
ヨガ・ニドラとは、「覚醒」と「眠り」というパラドックスであり、言葉遊びでもあります。
40ページ
ヨガの目的は解脱とか、覚醒、真我に目覚めることなどと言われる。私たちは毎日、睡眠と覚醒を繰り返す。寝て、起きて、また寝て起きて。寝ていると夢を見て、夢のほとんどが起きると忘れてしまう。 起きているこの現実世界を真実だと人は思っているが、人は起きているようで眠っているようなもので、真理ではなく、自分の見た世界を真実だと思い勘違いしていて、その眠りからの目覚めがヨガの実践ともいえる。 眠りのヨガというヨガニドラは、眠り(ニドラ)を使うことで真実に目覚めることを目指しているのではないかと思う。
この本の中で著者は自分が認識しているものと分離しているというのは幻想だと伝えています。 このブログで非二元と言われる覚者の言葉などをいくつか記事で書いていますが、非二元的な方向からヨガを伝えているようにも受け取れます。
本の中では様々な練習法が紹介されてきて、かなり役立つものだと思います。
無意識の中で息づくものは、全て世界に投影されます、あなたが怒りを拒絶すると、怒りが世界に投影されます、あなたが他者を批判するのは、それはあなたが自分の行為を批判しているからです。あなたが「自分」への批判を止めれば、あなたは「他者」を批判することを止めるでしょう。
66ページ
世界は自分の内側を投影している。自分が見たくないものが自分の外側に現れる。 自分自身の無意識への気づき。
アイレストのヨガニドラの特徴として、最初のステップの3つがサンカルパを定義、見つけることにある。 サンカルパの意味はこの本では誓い、決心、約束とされている。 ヨガニドラのクラスでサンカルパを心の中で唱えるということをやっているがサンカルパを見つけるというのは、あまりやらないと思う。NVC のクラスの中でNeedsとサンカルパを結びつけて行うことを何度かやったことがあって、アイレストのやり方は、NVC 非暴力コミュニケーションの練習にも取り入れやすいと思う。
私たちが本来持っている安心感や安定した心を”インナーリソース”という言葉で、インナーリソースを感じるということを言っているのですが、これを自分は全体性とか完全生、ホールネスのようなことを言っているのではないかと思う。
インナーリソースとは、私たちのマインドと身体全体で深く体感(フェルトセンス)し、安心感や平穏な心、安らぎ、静寂、健やかさを呼び起こしてくれるものであることです。
109ページ
「ありのまま」とは、人間の本性です。あなたがただ「ありのまま」でいる時に、一人の人間として、「ありのまま」の完全性(Wholeness)、一人の人間としてのあなたそのものに気づくでしょう。
119ページ
タントラ的な世界観の言葉もある。 世界は微粒子が振動している。 それが意識の世界。
あなたが、自分の身体を微細な輝く振動として再び感じられるようになると、広大な情報で溢れるフィードバックの世界へアクセスできるようになります。
123ページ
アカシックレコードとか言われているものと同じ。
「我という考え」が「愛」の中に溶けてなくなると、私たちは「私」を「ありのまま」の裸の状態で認識する、「収束の大回転」の究極の効果を体験します、
166ページ
東洋で生まれたヨーガの世界が西洋に渡って実践や探求されると、言葉がとても美しくなって時にうっとりする。ただ自分としてはヨーガの怪しさやドロドロさやグロさがある感じが好きだったりする。自分が生まれ育った日本というバックグラウンドがそう感じさせるのだろうか。
全ては「二つではない」(advaita/アドヴァイタ)ということを悟ったとき、練習を行う根拠となる分離した自我(エゴ)、もしくは行為者などというものは存在しないということに気づくからです。
全てが恩寵(anugraha/アヌグラハ)、それは真髄のもう一つの特質なのですが、として認識されます。
169ページ
ノンデュアリティ(非二元) とか、私はいないとか言う人たちの言葉がどうも薄っぺらな感じがするんだけど、ヨガの視点があると一気に深まる。 この本もとても面白く練習に役立つし言葉もわかりやすい。少しだけ残念なのはヨガニドラという視点での練習についてもっと触れていたらよかったのになあ。でも良い本です。読んでみてください。