ヨガというと現代では身体を動かすヨガが一般的ですが、ヨガのポーズの練習をしているうちにどうやらヨガのはヨガ哲学と言われるものがあるらしい、でもなんだか哲学と言うと難しそうでもなんとか興味を持って、多くの人は、バガヴァッドギーターやヨーガ・スートラの解説本を手にして読んでみます。
ヨーガ哲学で知られるバガヴァッドギーターはヴェーダーンタ学派の聖典、ヨーガ・スートラはヨーガ学派の聖典と言われています。
インド哲学は大きく２つのグループに分類されます。
１つは『ヴェーダ』の権威を認める正統派といわれる６つのグループと、『ヴェーダ』の権威を認めない非正統派といわれるグループの２つです。
正統派の６つのグループは、サーンキヤ学派、ヨーガ学派、ニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカ学派、ミーマーンサー学派、ヴェーダーンタ学派でこれらを「六派哲学」といわれます。
ヴェーダの権威を認めない非正統派といわれるのは、仏教やジャイナ教などの六師外道と言われるグループです。
ヴェーダとはサンスクリット語で知恵とか知識といった意味で、古代のリシと呼ばれる修行者たちが瞑想して神から降りてきたものとされる。紀元前１５００年ころに生まれたと言われます。（諸説あり。）バラモン教（ヒンズー教）の聖典とされます。
ヴェーダは広い意味で４種類の聖典があって、サンヒター、ブラーフマナ、アーラニヤカ、ウパニシャッドのことを言い、狭義ではサンヒターのことを差し、サンヒターには、リグ・ヴェーダ、サーマ・ヴェーダ、ヤジュル・ヴェーダ、アタルヴァ・ヴェーダの4つのヴェーダがある。
前置きが長くなってきましたが、このヴェーダを元にしている学派が「六派哲学」で、そのなかでインドにおいて現在もっとも主流なのがヴェーダーンタ哲学です。 ヨガ哲学というとき、その名のとおりヨーガ学派の哲学をしめすだけでなく、ヴェーダーンタ哲学のこともさしているのが一般的です。
ヴェーダーンタ学派とヨーガ学派の考え方には、同じヴェーダ聖典を元にしていますが、大きく異なる点があります。 ヨーガ学派は六派哲学のサーンキヤ学派がもとでほんとど違いがなく、違いは神の存在（イーシュヴァラ、自在神）を認めているかどうか、イーシュヴァラとは人格化されたキャラクターのある神ではなく、その人が信じるものといったような意味です。
サーンキヤの特徴はプルシャとプラクリティの二元論で、世界はプルシャ（精神原理）が、プラクリティ（物質原理）を観ることで、３つのグナのバランスが乱れて展開していきます。
ヨーガ学派の聖典がパタンジャリのヨーガ・スートラで、ヨーガの実践によって、宇宙の展開を戻っていき、プルシャとプラクリティに戻ることが、目的（解脱）とされています。 ここで実践するヨーガはアシュタンガヨガ（八支則のヨガ）で、ヤマ、ニヤマ、アーサナ、プラーナヤマ、プラティヤハーラ、ダーラナ、ディヤーナ、サマディの８つです。パタンジャリは仏教の影響を強く受けたと言われ、ヨーガスートラには仏教哲学と似ている箇所があります。
一方でヴェーダーンタ哲学は、宇宙はただブラフマン（凡）のみが真実で、世界はブラフマンから展開しているとされます。ヴェーダーンタの経典はブラフマ・スートラです。 ヴェーダーンタは８世紀ごろのインド最大の哲学者と言われるシャンカラによって完成したとされ、シャンカラは、他の学派や仏教などをことごとくボロクソに否定しつつも、それらの思想を取り入れて、全てはブラフマン（凡）＝アートマン（真我）であるといいます。 アドヴァイタ（不ニ一元論）と言われてます。
ハタヨーガはタントラ密教の修行法の影響を強く受けていますがヨガの実践により、ヤマ、ニヤマを除く六支則のヨガやクリアヨーガなどで、人体の潜在力を呼び起こし、チャクラやクンダリーの活性化などでアートマンとブラフマンの合一を目指しています。
ヨーガ哲学には大きく２つに分けると二元論と、不ニ一元論という考えがあって、ただどちらもヴェーダ聖典を元にしております。また仏教ではお釈迦さま（仏陀）はアートマン（真我）を否定されていると言われており、（否定も肯定もしていないという話もある）、無我であり、世界は無常であると言います。
学べば学ぶほど、どんどんわからなくなるヨーガの哲学ですが、日常生活に役立つような知恵でもあります。学びながら、できるだけ、わかりやすくなるように書いているつもりでいますが、１、２年前に書いたものを読み直すと自分でもわかりにくかったり、知識が浅かったりと気づきがあります。 時おき、アップデートしていきたいと思います。
