ヘルマン・ヘッセ著のシッダルタ

本のこと

本を読むのが好きなはずなのに、たまに通るところに古本屋があるという存在に1年くらいたって気づいた。そこに何か呼ばれたような不思議な感じで入ると一冊の本が目に飛び込んできた。 ヘルマン・ヘッセ著のシッダルタ。岩波文庫から出た本で翻訳者は手塚富雄さん。 石垣島に住んでいたとき、ヨガの先生のやすこ先生が「この本面白いよ」って貸してもらって読んだ本だった。 そのとき読んだ本とは表紙が違う。記憶が正しければ、新潮文庫の本だった。

一度読んだ本だしすぐ読もうと思わなかったが、その日の夕方に読み出したら結局、夕食を挟んで夜中までかけて全部読んでしまった。

この物語の時代は、お釈迦さまこと仏陀、ゴータマ・シッダールタの時代、物語の主人公、シッダルタとは仏陀と同じ名前。婆羅門の子として生まれたシッダルタが修行して悟りを得るまでの物語だけど、その人生の物語に引き込まれていく。 親友であるゴヴィンダとの友情や、家を出て沙門(しゃもん)と呼ばれる修行者に仲間いりすることだったり、偉大な悟りを開いた覚者である釈迦との出会い、師や仲間を捨てて1人で旅立ち、カマラという女性の愛人になりカーマスワミーのもとで商人になり、自らが軽蔑していた欲にまみれた人間へと堕ちていくが、その暮らしも捨てて、ヴァズデーヴァという川の渡し守とともに暮らし、川から多くを学ぶこと。それでも、カマラとの間の息子と出会い子供への愛というか執着に気づき、手放す。ただ川の声に耳を傾けて、全ては溶けていき、流れに身を任せ、全てと統一した。

ここで面白いと思ったのは、幼いときから学びや修行、知識のバックグラウンドがあったということはあるかもだけど、瞑想や祈り、ヨガを実践しているときではなく、

最後にゴーヴィンダが登場する。親友であるシッダルタとの再会、おそらく最後となる会話でゴーヴィンダはシッダルタが得た知識、悟ったことについて質問するが、その教えは師であるゴータマと矛盾があるが、シッダルタは違いないと言い、シッダルタの教えは理解できないが、シッダルタの眼差しや体などは聖者の光をさしているように見え、最後の教えを求め、ゴーヴィンダは世界の統一をおそらく悟ったのではないか。 

この本を読んでの驚きはヘッセは、ヘッセについて全然知らないが、インド哲学、ヴェーダへの知識などもあるだろうということと、それよりも彼自身が世界の秘密というかアートマン(真我)とブラフマン(梵)の統一か、大きな世界の愛とも呼ぶべき体験、知恵を得たのではないだろうか? 

古い本ですが、今読んでも面白いし、インド思想とかに興味がない人でもインドに少しタッチするのではと思います。 ヨガの本ではないが、ヨギーに進めたい一冊です。

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