ヨーガの歴史を誰でも簡単にわかるように、数千年の歴史を数千字でまとめて理解できるようにしてみた。
歴史は様々な説があり、数千字でまとめて理解することは現実は不可能だが、その一部の仮説を知るだけで深いと思う。
紀元前2500年から1800年 インダス文明
ヨガの発祥は今から4000年以上前という説があって、本などで書かれている。その根拠はインダス文明のモヘンジョダロとハラッパ遺跡の彫刻がヨガ行者であると言われていて、ヨガの発祥はインダス文明という説がある。 インダス文明は現代のインド、パキスタン、アフガニスタンに及ぶと言われ、モヘンジョダロやハラッパーは、今のパキスタンにある。
ただし、これはあくまで説であって証拠はないが、いろんな本などで書かれれているが真実かわからない。まあ、でも4000年の歴史があったらなんか浪漫あるかもね。
紀元前1200~1000年頃の聖典リグ・ヴェーダ
インドを侵略したアーリア人が、古代インドの聖典リグ・ヴェーダを編纂したとされる。アーリア人というのは、イランに住んでいた人たちの集団が大移動していったとされる。反対のヨーロッパに行った人たちもいるという。この説はかなり一般的だが、どうもインドを支配する捏造だったのがまるで正しいようにされているようだ。歴史の真実は闇の中、諸説何が真実かwからない。
アーリア人より前にインドにいたのはドラヴィダ人だとか。この聖典は紀元前1500年ころから始まったとされる。
「リグ」は「讃歌」、「ヴェーダ」は「知識」という意味で、ヴェーダにはリグの他に、サーマ、ヤジュル、アタルヴの4集からなる。ヨガの聖典ではないが、インドの哲学の流れとして関連があるという人もいる。
紀元前800年から500年ころ古ウパニシャッド
古代インドの教典のウパニシャッドが書かれる。ウパニシャッド(奥義書)の思想、哲学はヴェーダーンタ哲学と言われて、プラフマンとアートマン、梵我一如(ぼんがいちにょ)の思想。梵は宇宙の本体で、我は個人の本体。 ヨガの哲学で出てくる名前が登場している。現代もこの思想に影響を受けていることがわかる。
ウパニシャッド(講談社学術文庫)
紀元前600年頃 仏教の誕生
仏教の開祖といえば仏陀、ゴータマ・シッダッタ。
仏陀は解脱するための修行でヨガをやっていたという。現代人がイメージするヨガというより、断食などの苦行と呼吸法や瞑想を行った。どんな瞑想をしていたかというとサマタ瞑想とヴィッパサナ瞑想という説が有力。ただ現在各地で行われているヴィッパサナ瞑想は仏陀が悟りを開いた瞑想といううたい文句がされているが、この100年くらいで復活したもので、同じ方法であるかは知ることはできない。
同じくらいの時代にマハーヴィーラが開祖のジャイナ教も誕生している。ジャイナ教は厳しい戒律や修行で知られており、アヒムサ(非暴力)の教えなど仏教と似ているところもある。
仏教はのちにインドから姿を消すが、ヨガに大きく影響を与えている。
仏教はインドからほぼ消えたが、ヒンズー教に取り込まれて今も残る。ヒンズー教では仏教もジャイナ教もヒンズー教の一つであると考えられていて、仏陀 お釈迦様はヒンズー教の神様であるヴィシュヌ神の生まれ変わりとされている。
タイ式のヨガ、二人でやるヨガといわれるタイ古式マッサージの創始者は仏陀の主治医のシヴァカ・ゴーマラバットだという。 タイ古式マッサージには、ルーシーダットンというハタヨガに似た体操法がある。 ルーシーダットンはタイでは健康のための体操法としてやっている感じでインドのヨガのような哲学は聞かない。もしあれば知りたいものです。
紀元前300年頃 『カタ・ウパニシャッド』
中期ウパニシャッドでヨガについての記述が登場する。現代でも知られる、心を制御することがヨガであるということ。人間馬車説が書かれており、哲学であり心理学と言える。
「真の自分とは、馬車の中に座っている主人である。人間の身体とは車両である。馬車の御者とは理智(外からの情報を判断する心理器官)である。車両と馬た ちとをつなぐ手綱が意思(外からの情報を理智に伝える心理器官)である。(眼や耳や皮膚や手足や生殖器など10種類の)感覚器官が馬たちである。これら感 覚器官が追い求めるのが、馬が走る道というものである」
(カタ・ウパニシャッド第3章3,4節)
紀元前5世紀から西暦200年 バガヴァッド・ギーター
インドの巨大な叙事詩である『マハーバーラタ』の一部で物語であるが、ヨガの教典ともされている。 聖者ヴィヤーサによって書かれた。
マハトマ・ガンジーがバイブルとしていたことでも知られる。カルマ・ヨーガ(行為のヨガ)、ジュニヤーナ・ヨーガ(知識のヨガ)、バクティ・ヨーガ(親愛のヨガ)といった古典ヨガがここで出てくる。
神の詩―バガヴァッド・ギーター (TAO LAB BOOKS)
西暦400年頃 ヨーガ・スートラ
聖者パタンジャリによりヨーガ・スートラが編纂。サンキーヤ哲学からの影響、仏教の影響を受けていると言われる。 プルシャとプラクリティの二元論が特徴の一つ。
サンキーヤ哲学とはインドの思想は大きく6つの哲学に分類されるその一つ。それぞれ、ヴァイシェーシカ学派・ニヤーヤ学派・サーンキヤ学派・ヨーガ学派・ミーマンサー学派・ヴェーダーンタ学派となる。
八支(アシュタンガ)のヨガでサマディ(三昧)についての定義や種類が定義されている。 ここでのアシュタンガは現代の体を動かすアシュタンガヨガとは異なるのは書くまでもないだろう。現代でも多くのヨギーのバイブルである、基本となる教典となっている。パタンジャリのヨーガスートラが、ラージャヨガ(王様のヨガ)と言われている。
パタンジャリ師は、ヨーガだけでなくアーユルヴェーダもまとめたといわれる。
タントラ 仏教密教
西暦300年くらいから仏教の勢力は弱まりだし、インドの土着の宗教やヒンズー教との融合などにより、タントラ仏教や密教が誕生したといわれる。
現代に伝わるチャクラ、ナディ、クンダリーニなどといった考えは、タントラの流れを組んでいる。
タントラの流れからハタヨーガ、クンダリーニヨガ、マントラヨガなどが生まれている。ここでハタヨーガの流れが現れるわけだ。
これらの密教はチベット密教や日本にも真言密教が伝わっている。インドネシアのバリヒンズー教などもヒンズー教と仏教が、土着の宗教と融合したといわれる。
禅 逹磨大師
西暦500年頃にインドから中国の少林寺に、ボッディダルマ 逹磨大師が禅を伝えたという。逹磨さんが伝えたのは禅だけでなく、インドの拳法も伝えたという。 これがカラリパヤッドだったのかはわからないが、中国で育ち、のちに琉球(沖縄)、日本に伝わり、手と呼ばれ空手になったという説がある。
禅は日本では臨済宗、曹洞宗などの仏教の宗派で知られる。
シャンカラ 不二一元論
西暦700年代にインド最大の哲学者シャンカラが不二一元論、アドヴァイタ・ヴェーダーンタ哲学を確立。シャンカラは仮面の仏教徒と呼ばれ、その思想は仏教に近似性がある。
アドヴァイタ(非二元)の教えは、現代にも繋がっている。
日本にヨガと仏教が伝わる
西暦700年代にボーディセーナ(菩提僊那)により、南インドから日本にヨガが伝わったとされる。 800年代中期には、空海により伝わった仏教の真言密教は瑜伽(ユガ)といい中期タントラ密教のヨガだったとされる。 空海はヨギーだった。日本人はヨガという言葉はなくてもヨガに触れていたということなんだ。
ゴーラクシャ・ナータ
ハタヨーガの開祖といわれるのが、ゴーラクシャ・ナータ。
12世紀くらいまでに仏教タントラ(後期密教)とシヴァ教タントラの2つの教えを統合していた「ナータ派」のゴーラクシャにより「ハタ・ヨーガ」がまとめられた。ゴーラクシャは、「ハタヨガと「ゴーラクシャ・シャタカ」の2つを書いたといわれる。ゴーラクシャの先生はマッツェンドラ。日本ではヨガをやっている人でもあまり知られていないが、インドやネパールにはゴーラク伝説が各地に残っているという。ハタヨガというのはタントラの修行法だった。ゴーラクシャ・シャタカに書かれているアーサナもほとんどが坐法であるが、ポーズのようなものもある。
「ゴーラクシャ・シャタカ」の日本語訳が2020年に出ていた。
シヴァ・サンヒター
ハタヨガの3大教典の一つ、シヴァ・サンヒター。15世紀頃に書かれたといわれる。シヴァ・サンヒターはクラ派の教典。
プラーナやチャクラについて書かれている密教的な意味合いが強い。
ハタ・ヨーガ・プラディーピカー
16から17世紀にスヴァートマーラーマによってハタヨーガ・プラディーピカーによって書かれたハタヨガの教典。アーサナ、プラーナヤマ、ムドラー、ラージャヨーガの4章からなる。
ハタ・ヨーガはラージャヨガへの階段であるといわれているが、ここでいうラージャヨーガとは、解脱、悟り、サマディへの道ということのようだ。
ゲーランダ・サンヒター
ハタヨガの3大教典の一つに数えられる、ゲーランダ・サンヒター。17世紀頃はヴィシュヌ教サハジャ派によって書かれたといわれる。聖者ゲーランダが、弟子のチャーンダ・カーパーリに教えるという形で書いてある。クリヤ 浄化法が最初に書かれているのが特徴の一つ。
20世紀から21世紀 現代へ
体を動かす体操的なヨガは19世紀の後半くらいから20世紀にかけて増えていったという。
日本に現代ヨガを伝えたといわれるのは1920年代に中村天風さんといわれるが、このころは瞑想法が中心だったと思われる。1920年代から西洋にヨガを伝えたあるヨギの自叙伝のパラマハンサ・ヨガナンダが伝えていたクリヤヨガも瞑想法が中心だったが、自伝によるとヨガの練習に体操を取り入れて指導することでの効果が書かれてあった。
近年は何度かヨガブームがあり、最初は1970代にヒッピーカルチャーやビートルズ人気のころ、東洋のスピリチュアルな文化が欧米に持ち込まれて、心理学やボディワークなどが広がっていった。 ビートルズがインドの聖地リシケシでヨガと瞑想修行していた。
インド リシケシでのヨガの旅 アシュラムでのTTC合宿の一ヶ月
1990年代にはマドンナなどハリウッドのセレブがヨガをやることで美容やダイエットで女性たちにヨガが人気がでるが、日本ではオウム真理教のカルト的な事件でヨガが怪しいイメージができる。
近年はプロスポーツ選手や芸能人などもヨガをやる人も増えて、欧米化したヨガが日本でも流行したといえると思う。 世界最大のヨガ団体がアメリカに本部があるヨガアライアンスである。
現代のハタヨガはナータ派の流れを組んでいるのかは不明で、ヨーガ・スートラ教典とされることが多いが、ヨーガスートラでは坐法であったアーサナが様々な体位法により、健康などに注目されダイエット、美容などで注目されるが、健康法としての体操だけでなく、マインドフルネスブームなどで瞑想法や、呼吸法などを行う人も増えている。
ヨガの効果はは柔軟性、筋力向上、自律神経の調整、心の平安、免疫力向上、安眠、ヒーリング効果、創造性アップ、対人関係、子供からお年寄りなで老若男女に役立つことがわかってきていて、学校教育や介護施設、トラウマ治療などに使われるなども増えており、今後も様々な場所で使われることが予想される。 単に健康のためだけでなくヨガの哲学や心についての関心が高まっている。
今の時代でヨガというとハタヨガ、アシュタンガヨガ、シヴァナンダヨガ、アイアンガーヨガ、クリパルヨガ、いろんなヨガの流派がありますが、何が正しくなにが間違っているとかではなく、何を選択するか、何を学ぶかでまるで違う世界がある。 一つのものを探求するのもありだし、いろんな道を知るのも楽しいと思う。
ここで書いたものの多くが仮説なので、興味持ったらぜひ調べて学んで欲しいと思います。