海の水って綺麗? 泳いで大丈夫? サーフィンしても大丈夫?
濁っていて汚いとか、ゴミが浮かんでいたとか、放射能の汚染水とか、海のこと気になるってことで 海の水質調査をやっていた話を書きます。
サーフポイントの汚染が気になって湘南の海での水質調査をやっていた話です。
サーフィンしていて海の水が汚れが気になっていた2000年に鵠沼の引地川の上流で荏原製作所が環境基準の7000倍のダイオキシン類を流していたことがあり、どうなっているんだろうって興味を持った。
ここから書く話は、めっちゃ長いです。
かなり、マニアックなので読む人いるのかあって感じですが。
サーフライダー・ファウンデーション・ジャパンというNGOで水質調査を1999年の12月からはじめて、 2006年4月には、「大腸菌群水質調査報告書」として6年間のデータを基にSFJなりの考察を国交省、環境省へ提出したことがありました。
自分は当時住んでいた鎌倉の由比ガ浜の滑川の河口で約5年くらい 毎月第一日曜日に海水を採取して、水質を測定していました。
*現在は上記の組織と離れているので、こういった活動を行っているかは不明です。
何を水質調査をやっていたか
自分が活動に参加したとき、ダイオキシン類の調査とかPCBとかもやっていましたが、その話はまた別の機会があればで、測定していたのは、COD、Ph、大腸菌群の3種類がメインでした。
まずは、簡易テストでCOD、Phは(株)共立理化学研究所が開発した水質検査キット(商標登録済み)を使用し、大腸菌群は試験紙による検査 (サンコリ簡易試験紙使用) して恒温器にいれて24時間培養。そのため結果が出るのに時間がかかる。
CODは、CODOH(アルカリ性過マンガン酸カリウムによる酸素要求量)という方法でした。
ここまで読んで、すでに先を読むのが嫌になった人もいるでしょう。
そしたらブックマークして違うページを読んでね。
由比ガ浜では滑川の川の河口で採取していた。
CODとPhはその場で測定する。
CODとPhを測定する前に気温と水温を測定する。
温度で測定にかかる時間が変わる。
それで色見本と比較する。 色見本がたまに更新されるので、古いものを使っていると注意。
それと風向き、風の強さ、波のサイズ、海水の見た目の汚れ、海にどれくらい人が入っているか、さらに砂浜の砂の状態などもチェックする。
砂浜の浸食対策で重機が入っていたり、海の家の建設がはじまったり、周囲を観察する。
測定するときは、波がフラットで全然ないか、オンショアがビュービューふいて、波がチョッピーな日が多かった。 それと煮沸したペットボトルに水を入れて、大腸菌群は恒温して測定してくれていた仲間の家に持って行く。
第一日曜日はローカルビーチクリーンの日でもあって、よくビーチクリーンの時間は波があって、終わってサーフィンしようと思ったらサイズダウンで出来なくなっていた。
話は戻り、またこのテストの精度を調べるために、神奈川県平塚市にある神奈川県環境科学センターというところでCODとPhのテストを行いました。
また大腸菌群の調査は、SFUS(アメリカのサーフライダー)で使用しているコリラート試薬を使った大腸菌と大腸菌群の検査を不定期に試験して、簡易検査との結果を比較を行った。 他にはエンテロラート試薬を使用した腸球菌を測定して糞便汚染を測定する方法も行ったこともあった。
こちらは、やっただけでした。
CODとかPhとか大腸菌って?
こっからは、ちょっとお勉強タイムまずは、CODについて。
COD Chemical Oxygen Demand(化学的酸素要求量) 有機物を酸化(分解)するときに消費した薬品(酸化剤)の量を、消費された酸素の量に換算したものです。簡単に言えば水の中に有機物がどれだけ含まれているかを示す数字です。数字が大きいほど汚れていると考えます。
似た言葉BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)というのもある。
薬品ではなく、微生物を用いて消費した酸素量に換算する方法で、こちらは河川の環境基準に使われている。 次にPhについて。
pHとは水素イオン濃度 単位はpH 水の酸性・中性・アルカリ性を示す数値。pH=7が中性。これより数字が大きくなるとアルカリ性、小さくなると酸性。 温泉など特殊な例を除いて、河川などでは通常は pH=7 前後の中性に近い値となっています。 海域では比較的高くなり、pH=8程度
ちなみにPhは、水の中のCO2の量によって値が変化するので採水したらすぐに測定する必要がある。
そして大腸菌と大腸菌群について。
大腸菌群数とはTotal Coliform 大腸菌群数は、大腸菌及び大腸菌と性質が似ている細菌の数のことをいい、水中の大腸菌群数は、し尿汚染の指標として使用。 大腸菌群数は、検水1ml中の個数(正確には培養後のコロニー数)または、検水100ml中の最確数(MPN)で表される。
大腸菌群数の生活環境の保全に関する環境基準値は類型別に定められており、海域の場合はA類型で1000MPN/100mL以下となっている。
大腸菌群とは大腸菌及び大腸菌と類似の性質を有する細菌の総称。 大腸菌群には含まれている細菌のほとんどが無害なもの。 人間の糞便汚染の程度を示す指標菌。 大腸菌群が測定された水から高濃度で、検出されたら糞便汚染が残っていると考えられ病原菌も存在する可能性があると判断される。
大腸菌群が検出は、直ちにその水が危険であるとはいえない。 大腸菌群が多数検出されることは、その水はし尿による汚染を受けた可能性が高く、赤痢菌やサルモネラ菌などの病原性細菌によって汚染されている危険があるということを示す。
大腸菌群や糞便性大腸菌群は大腸菌以外の菌が検出されてしまうという欠点がある。 海水に関する水質指標(水質汚濁防止法)で大腸菌群が用いられる。 公衆海水浴場の適正基準(環境省作成)では糞便性大腸菌群が用いられる。 ここは、ごっちゃになりやすいところ。
大腸菌とは、人間の糞便にもっとも多く含まれており、糞便性汚染がない限りは通常は検出されず、糞便汚染の有無を測定するのに有用である。 数十年前に水質指標が設定されたとき大腸菌の測定が簡易ではなかったため、大腸菌を含むが、その他の類似菌も測定してしまう大腸菌群という指標が導入された。
上水道(厚生労働省) 平成16年の水質基準改正により、それまで基準項目に入っていた大腸菌群から、ふん便汚染を知るのにわかりやすい大腸菌に変更された。平成16年の水質基準改正により、それまで基準項目に入っていた大腸菌群から、ふん便汚染を知るのにわかりやすい大腸菌に変更された。
CODやph、大腸菌群数、だけで水の汚れのことが全てわかるわけではない。SS、DOを総合的に判断する必要がある。 また、環境省の定める生活環境基準では海域の場合は pH,COD,DO,大腸菌群数,nーヘキサン抽出物質(油分),全窒素,全りんを見ることになっている。
SS、DOとかは今回は省略します。
測定方法はいろいろあるが、世界でこれが一番というのは、決まっていない。
海水浴場ではCOD、Ph、糞便性大腸菌群数、油膜の有無、透明度を測定している。
海の汚染の原因は?
海が汚れる原因は様々だが、生活排水が原因の60~70%を占めるといわれている。 なぜ、生活排水が汚染の原因なのかそれは現在の下水処理システムの状況を知る必要がある。 生活排水とは、基本的には台所排水、トイレ排水、お風呂・洗濯排水など
生活排水以外の汚染の原因もさまざま。 工場からの排水・原油流出・廃棄物の海洋投棄・船舶の運行に伴って生じる油、有害液体など・海底探査や沿岸域の開発などの活動・大気汚染物質が雨を通じて海洋に達して生じる汚染・生活ゴミの流出・牧場などから牛糞などが大量に河川への流失、農家、ゴルフ場などで使用している農薬・海の家での未処理の排水・森林伐採による土砂の流出、さらに火力発電、原子力発電所からの温廃水など。海に建設された構造物による海流の流れが変わったことで、砂浜減少、生物が消えるなども間接的な汚染の原因と考えられる。
ちなみに下水普及率は平成27年3月31日現在、全国の下水道普及率は77.6%(下水道利用人口/総人口) 公益社団法人 日本下水道協会 jswa.jp/rate/
下水処理施設以外にどんな処理方法があるか。
その他の排水処理施設には、地域し尿処理施設・農業集落排水施設・コミュニティプラント・合併処理浄化槽などがある。 エコビレッジなどでは、コンポストトイレを使ったりもある。
下水汚泥の汚泥処理は、一般に濃縮、脱水前処理、脱水の順で行われ、コンポストとして利用されたり、焼却や溶融されて埋立てられている。汚泥処理物の資源化に関心が寄せられるが、さまざまな有害物質の混入の可能性などもある。現在はエネルギー利用などもされているが減量化は課題。
下水汚泥は放射性物質 セシウム134、セシウム137も高濃度に検出されるという問題もあった。
やっぱり、コンポストして堆肥にして循環させたい。
海を綺麗にするためにできること!コンポストトイレを提案する!
わざわざお金とエネルギー使って、もったいない。
合流式と分流式の下水処理施設について
合流式下水道と分流式下水道。 下水は、汚水(私たちが流す生活排水ですね)と雨水に分けられる。 雨の多い日本では、浸水などの災害にならないように、道路脇の側溝から雨水を下水管に流している。 汚水と雨水を同じ管で流すのを合流式下水道、別々の管で流すのが分流式下水道。
合流式下水道は汚水も雨水も処理場へ流れるため、大雨が降れば、処理場には普段の何十倍、何百倍もの水が流れる。下水処理場の容量を越える汚水は川や海にほぼそのまま放流することもある。オーバーフローです。
分流式下水道では、雨水は何の処理もされないまま、道路脇の側溝から直接、海や川へ流し、汚水だけが下水処理場へ流れる。 処理場の負担は減るが、街のゴミや埃などが雨の際に雨水管に流れ込み直接、海や川へ流れ出ます。 雨水滞水池の整備が課題である。
下水処理施設のないところでは家庭の汚水が直接、川へ流れ込み、やがて海にたどり着く。 分流式下水道では道路脇の側溝に汚水が、川に海に直接流れていきます。 下水処理場からの処理水にも除去しきらなかった汚れが流れる。 こうして生活排水から海へ汚染水が流れて行く。
下水道が完備されていれば、下水に汚水を流していいかというと、下水処理場でも100%処理できるわけではなく、処理場に余分な負荷がかかり機能が低下するので、極力減らしたほうがいい。
世間では分流式がいいといわれて整備されているんだけど 本当にそれでいいのかは、もう一度でも二度でも考えて議論する必要あるんじゃないかなあ。
本当にそれで、循環していくのか疑問ありありです。
トイレもコンポストトイレにしたい。
海に流れる汚水を減らすために出来ること
合成界面活性剤を使っている洗剤を減らして、生分解性の石けんや洗剤に変え よう。
ぼくの友人の直也くんが販売している、Allthings in Natureがオススメです。
これは、以前に島でインタビューに行った記事。
生分解性の洗剤 Allthings in Nature
お客様へのインタビュー(金城智子さん@沖縄県石垣市在住) | 赤ちゃんの肌に優しい洗濯洗剤 https://t.co/qSvSAAZQ1M— ataushi (@atsusurf) May 7, 2016
しかし、たとえ生分解性の石けんや洗剤でも、多く使いすぎても効果はない。
決まった量を使うことです。
食べ物の残り汁や油、残飯などはキッチンペーパーなどでふき取って、出来るだけ洗い流さないようにする。
下水道や処理場があっても、汚れをすべて取り除けないので、家庭からの排水を減らすことが下水処理場の負担を減らし、浄化効率が上がることになる。 台所も街の側溝も、すべて川や海に繋がっているという意識が大切。 キッチンなどでの水の使いすぎも問題。蛇口はこまめに止めよう。
「森は海を育てる。」という言葉がある。
海だけでなく、街、山、川をきれいにしなければ海は綺麗にならない。
お金がないって人は、自然のものを採取して使うこともできる。
究極の自然素材 ソープナッツ ムクロジの木の実の石けんを使ってみた
海の汚染原因のまとめ
街からは、生活排水、工場廃水、発電所の温廃水など。
山からは、森林伐採、ダム建設など 。
川からは、護岸による生物減少による浄化作用の低下 。
海では、離岸堤、道路、漁港などの設置による砂浜、干潟、藻場などの減少によって浄化作用の低下浄化、魚などの乱獲による生態系の破壊など。
海の汚れは海水の見た目だけではわからない。
放射能に色がついてればいいのにって言った人がいたが 福島第一原子力発電所の事故でも、ずっと海に放射能が流れている。 自分にできるところから、変えていく意識を忘れないでいたい。
キッチンの排水溝の先には海がある。
トイレの先にも海がある。
循環しないシステムから循環するシステムへ。 全ての生物は繋がっている。
生活のすべてが、海に繋がっていると意識しよう。
CODの調査は誰でも簡単できて、全国水環境マップ実行委員会というところで毎年一回6月ころに水質調査をやりたい人を募集しているので、よければチェックしてみてください。
予定以上に長くなってしまった。
今回の記事を全部読んだ人は、よっぽどの変わりものか、おたくだと思うので 友達になれそうな気がする。 これから、よろしくね。
“https://atsusurf.com/2016/05/18/conpostall/
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